1/2 全国高校サッカー選手権  2回戦 (三ツ沢球技場)

鹿島学園高校 3−2 野洲高校

スタイルを貫いた美しき散華。野洲が打ち合いの末に鹿島学園に屈する。


年末に行われた1回戦を終え、年を明けて迎えた高校選手権の第2回戦。

晴天の横浜の三ツ沢球技場で迎えた第1試合に駒を進めたのは、初戦は国立の舞台で堂々のオープニングゲームを飾る勝利を見せた鹿島学園と、かつて国立を沸かせた"セクシーサッカー"復活に威信を燃やす滋賀県の野洲高校の対戦。
国立勝利の勢いを力に優勝候補相手に3回戦突破を狙いたい鹿島学園の布陣には、開幕戦でも"巻・深井コンビ"を訪仏とさせるJ三橋選手、H忍穂井選手の凸凹2トップに、右SBとして異彩を放ったA阿渡選手ら開幕戦と同様の11名が先発。

対する野洲は、この試合は指揮官の山本監督が急病でベンチを外れるという不測の事態。

一番の薬となる勝利の報告を成し遂げるためにも是が非でも勝利を物にしたい野洲は、大会屈指のアタッカーとして期待されるI坂本選手が左ウイングに入る変則的な4-3-3の布陣で挑む。
ほか、両者のフォーメーションは以下の通り。

【鹿島学園】4-4-2
------------11三橋-----------9忍穂井----------
-----8工藤--------------------------7小黒-----
------------10小谷------------6増田-----------
-14金井---------------------------------2阿渡-
------------5安藝----------3杉下--------------
-------------------1長嶺----------------------
【野洲】4-3-3
---------------------8潮入--------------------
-----10坂本------------------------9上田------
------------14梅村-----------7藤野------------
--------------------11松永--------------------
-18林-----------------------------------2福本-
------------3西口----------4端山--------------
---------------------1横江--------------------
迎えた前半だが、試合は早々に動いたのは5分。

左PAでポストに入った鹿島学園J三橋選手の落としにG工藤選手が左足でシュートを放ち、これでCKを得ると、左からI小谷選手の上げたボールをC安藝選手がニアでヘッドを叩き込み、これが決まって鹿島学園が1−0。

得点から数分はこの勢いを活かして鹿島が10分にA阿渡選手のクロスからJ三橋選手が胸トラップからシュートに持ち込むなど野洲を押す展開となるが、持ち前のドリブルを多用した攻めで次第に野洲も本来のリズムを取り戻し始めると、迎えたのは23分。

左サイドに突破したQ林選手のクロスをGKがファンブルしたところ、ファーサイドでこぼれ球に詰めたI坂本選手がダイレクトでシュートを叩き込み、これが決まって野洲がエースの一撃で試合を振り出しに戻す。
この同点弾を機に野洲は勢いを高め始めると、F藤野選手が抜群のスピードを活かした右サイド突破など伸び伸びとした”野洲サッカー”がその片鱗を見せ始めるようになり、26分にはI坂本選手がドリブル突破からのスルーパスにJ松永選手が抜けてシュートも、これは惜しくもGKの好守。

終盤にもI坂本選手、F藤野選手の個人技を起点に攻める野洲に対し、鹿島もA阿渡選手の右サイド突破からのフィードにH忍穂井選手、J三橋選手がスペースに走りこむなどチャンスを作るが、共に2点目を上げるには至らず前半は終了。

共に激しく攻守を入れ替えるアグレッシブな展開の中、1−1とした以降は野洲が高速カウンターで何度も好機を作るが、1点を取り合って40分を折り返す。
1−1で迎えた後半も、攻め合いとなった前半同様に鹿島はA阿渡選手のフィードなどからシンプルにボールを繋いで攻めるのに対し、野洲はF藤野選手、I坂本選手を中心とした個人技で攻めの形を作る。

その中、後半最初に試合が動いたのは11分。

右サイドからこの試合で再三見せているドリブル突破から野洲のF藤野選手が右サイドを切り裂くと、そのまま角度の無いところから豪快に打ち込んだ右足のミドルが鮮やかにゴール左に突き刺さり、これで野洲が2−1と逆転。
しかし、その僅か2分後の13分、今度は鹿島学園がI小谷選手が右PAで倒されてPKを得ると、そのPKをI小谷選手が自ら右足で叩き込んで2−2と再び同点。

目まぐるしく攻め合う展開が続く中、22分に野洲は一気に攻撃のカードを2枚変えてくると、ここから再び攻勢の勢いを高め始める。
再三右サイドを切り裂いて形を作るF藤野選手にボールを集めて形を作り、27分にはそのF藤野選手がワンツーで右PAに侵入しての右足シュート、29分にはG潮入選手が敵陣でのインターセプトからドリブルシュートを放つなど、野洲が3点目を挙げるのは時間の問題かと思われたが、精力的なプレスを途切れず一点のチャンスに賭ける鹿島が、ついにその牙城を崩したのは33分。

右サイドを突破したA阿渡選手のクロスに反応してファーに飛び込んだH忍穂井選手が頭で落とすと、ゴール前に頭で飛び込んだJ三橋選手の放ったヘッドがそのままゴールに吸い込まれ、土壇場で鹿島学園が3−2と勝ち越し弾。
残された数分間、再び同点弾を狙う野洲はとにかくドリブルや個人技で打開を図り、鹿島陣内へ攻め込みを図るが、鹿島学園も気迫のディフェンスでこれを防ぎ切り、試合はそのまま終了を告げるホイッスル。

鹿島学園が何度も食い下がる野洲を強かに勝負強さを見せて優勝候補の一角を撃破。

野洲は最後の最後まで自分達のスタイルを信じて攻め続けたが、勝利にはあと一歩足りなかった。

しかし、彼らの代名詞である"セクシーサッカー"の想いは十分に観客達の心を熱くさせた。

悔し涙を胸に近い将来、また彼らのサッカーが国立を熱狂の渦に巻き込む日が来ることを期待したい。

[得点]
3分:安藝 正俊(鹿島学園)
23分:坂本 一輝(野洲)
51分:藤野 友貴(野洲)
53分:小谷 駿介(鹿島学園)
73分:三橋 隼斗(鹿島学園)



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